佐渡(さど)のトキが増(ふ)えてきたんだってね。

ああ、そうだね。すこし前(まえ)にはもう絶滅(ぜうめつ)か、と心配(しんぱい)されていたんだが、よかったよかった。

ゼツメツ？　絶滅(ぜつめつ)ってなあに？

動物(どうぶつ)でも植物(しょくぶつ)でも、その種類(しゅるい)の生(い)き物(もの)がひとつもいなくなってしまうことだよ。

ふーん、絶滅(ぜつめつ)する生(い)き物(もの)もけっこういるの？

そうだね。生(い)き物(もの)って、まわりの環境(かんきょう)の変化(へんか)にあわせて、少(すこ)しずつ姿(すがた)や体(からだ)のつくりを変(か)えて進化(しんか)しているんだ。でも、新(あた)しい環境(かんきょう)にあわせられずに姿(すがた)を消(け)す生(い)き物(もの)もいるんだよ。

そういえば、恐竜(きょうりゅう)も大昔(おおむかし)に絶滅(ぜつめつ)したから、もういないんだよね。

そうだね。6500万年(まんねん)まえに大(おお)きないん石(せき)が地球(ちきゅう)に衝突(しょうとつ)したときに、灰(はい)が毛布(もうふ)のように地球(ちきゅう)をおおってしまったそうだ。環境(かんきょう)が大(おお)きく変(か)わっちゃって、恐竜(きょうりゅう)は絶滅(ぜつめつ)してしまった、と言(い)われているよ。

じゃあ、絶滅(ぜつめつ)って、しかたがないことなんだ。

そうねえ、そういうふうに自然(しぜん)に起(お)こる絶滅(ぜつめつ)で姿(すがた)を消(け)す生(い)き物(もの)は、1000年(ねん)に１種類(しゅるい)ぐらいらしい。ところがいまでは、１日(にち)に100種類(しゅるい)の生(い)き物(もの)が絶滅(ぜつめつ)しているという科学者(かがくしゃ)もいるほど、絶滅(ぜつめつ)のスピードが早(はや)まっているんだ。

えっ！１日(にち)に100種類(しゅるい)も？　どうしてなの？

人間(にんげん)が登場(とうじょう)してからなんだ。このままでは30年後(ねんご)には地球(ちきゅう)の生(い)き物(もの)の４分(ぶん)の１の種類(しゅるい)が絶滅(ぜつめつ)しちゃう、と心配(しんぱい)されている。

どうして？　人間(にんげん)が生(い)き物(もの)を殺(ころ)すから？

そうだね。それも大量(たいりょう)に殺(ころ)すからだ。肉(にく)を食(た)べるため、毛皮(けがわ)を取(と)るため、象牙(ぞうげ)を取(と)るためなど、たくさん殺(ころ)されているせいで、いろいろな動物(どうぶつ)が絶滅(ぜつめつ)しているよ。植物(しょくぶつ)も同(おな)じだ。

うーん……。

それからね、人間(にんげん)は、生(い)き物(もの)の住(す)む場所(ばしょ)を壊(こわ)している。

うーん……。

たとえば、ジャングルに住(す)んでいるのに、人間(にんげん)が森(もり)の木(き)をどんどん切(き)ってしまうもんだから、住(す)む場所(ばしょ)がなくなって生(い)きていけなくなった動物(どうぶつ)もいっぱいいる。いまでは動物園(どうぶつえん)でしか生(い)きられない動物(どうぶつ)もいるそうだ。野生(やせい)では絶滅(ぜつめつ)してしまったんだね。

ほかにも理由(りゆう)があるの？

うん。たとえば、タンカーが事故(じこ)を起(お)こして油(あぶら)が海(うみ)に流(なが)れ出(だ)して、住(す)む場所(ばしょ)が壊(こわ)されたり、人間(にんげん)の出(だ)す排水(はいすい)で川(かわ)が汚(よご)れてしまって、魚(さかな)が住(す)めなくなったりすることもあるんだよ。

うん、油(あぶら)で真(ま)っ黒(くろ)な海(うみ)や海岸(かいがん)のようすをテレビや新聞(しんぶん)で見(み)たことがあるよ。

そこにしか住(す)めない生(い)き物(もの)がいたら、一発(いっぱつ)でアウトだろう？　それからね、ブラックバスって聞(き)いたことあるかい？

うん。

あの魚(さかな)は釣(つ)り用(よう)に外国(がいこく)から持(も)ち込(こ)まれたんだけど、凶暴(きょうぼう)なヤツでね、もともと日本(にほん)にいた魚(さかな)をどんどん食(た)べて絶滅(ぜつめつ)させてしまっているんだ。やはり外国(がいこく)から持(も)ち込(こ)まれたタンポポの方(ほう)が強(つよ)くて、日本(にほん)にもともとあったタンポポも数(かず)が減(へ)っているらしい。

そんなもの、持(も)ち込(こ)まなきゃいいのにね！　もし人間(にんげん)がいなかったら、いまでも生(い)きていたのに、っていう生(い)き物(もの)がいっぱいいるんだね。

そうだね。人間(にんげん)が「自分(じぶん)さえよければ」と思(おも)って好(す)き勝手(かって)なことをすると、迷惑(めいわく)する生(い)き物(もの)がいっぱいいるんだよ。地球(ちきゅう)は、人間(にんげん)だけのものじゃないんだからね。

うん。でも、絶滅(ぜつめつ)しそうな生(い)き物(もの)を救(すく)う方法(ほうほう)はないの？

いろいろあるさ。法律(ほうりつ)でその生(い)き物(もの)を殺(ころ)すな、と決(き)めたり、生(い)きている場所(ばしょ)を荒(あ)らさないように守(まも)ったり。減(へ)っている動物(どうぶつ)や植物(しょくぶつ)を、たとえば、バイオテクノロジーなどを使(つか)って人工的(じんこうてき)に増(ふ)やしたり。各地(かくち)で、何(なん)とか絶滅(ぜつめつ)させたくない、とがんばっている人(ひと)たちがいっぱいいるよ。

そうなんだ。トキもずっと絶滅(ぜつめつ)せずに、増(ふ)えていくといいね。

そうだね。ただオリの中(なか)で生(い)きているんじゃなくて、昔(むかし)みたいに、田(た)んぼのドジョウを食(た)べたり、森(もり)の木(き)で巣(す)を作(つく)ったり、大空(おおぞら)を飛(と)んでほしいよね。

うん！　そのためには田(た)んぼに農薬(のうやく)をまいたり、森(もり)の木(き)を切(き)ったりしちゃいけないんだね。

そういうこと。でも生(い)き物(もの)にとっても生(い)きやすい環境(かんきょう)って、私(わたし)たち人間(にんげん)にとっても生(い)きやすい環境(かんきょう)だと思(おも)わないかい？