ねえ、そのうち地球(地球)から石油(せきゆ)や石炭(せきたん)がなくなっちゃうって、ほんと?
ああ、そうだね。すこし前(まえ)にはもう絶滅(ぜうめつ)か、と心配(しんぱい)されていたんだが、よかったよかった。
??? なんだろう? 考(かんが)えたこともなかったけど。
何千万年(なんぜんまんねん)も昔(むかし)の植物(しょくぶつ)の死骸(しがい)が化石(かせき)になったものなんだよ。だから、石油(せきゆ)や石炭(せきたん)のことを「化石燃料(かせきねんりょう)」って言うんだ。
へぇ、そうだったの! 何千万年(なんぜんまんねん)?!
うん。気(き)が遠(とお)くなるほどの時間(じかん)をかけて作(つく)られたものなんだ。だから、今(いま)みたいなスピードでどんどん掘(ほ)り出(だ)して使(つか)ってしまえば、いずれなくなってしまうだろうね。
ふーん。あとどのくらい使(つか)えるの?
「今(いま)のペースで使(つか)ったとして、あと何年分(なんねんぶん)ぐらい掘(ほ)り出(だ)すことができるか?」を「可採年数(かさいねんすう)」というんだ。石油(せきゆ)で約(やく)40年(ねん)、石炭(せきたん)が約(やく)230年(ねん)、ウランで約(やく)70年(ねん)と言(い)われている。
へえ、石油(せきゆ)はあと40年(ねん)しか使(つか)えないの?! じゃ、ボクがおじいちゃんになるまえに、なくなっちゃう!
うん。ただ、不思議(ふしぎ)なことに、30年(ねん)も前(まえ)も「石油(せきゆ)はあと40年(ねん)」といわれていたんだよ。
え? どうして?30年(ねん)たったらあと10年(ねん)のはずじゃない?
そうなんだけどね、可採年数(かさいねんすう)は、そのときにわかっている油田(ゆでん)にどのくらい石油(せきゆ)があるかから計算(けいさん)するんだ。
そうか! 新(あたら)しい油田(ゆでん)が発見(はっけん)されたら、可採年数(かさいねんすう)は延(の)びるんだね。
そういうことだ。もうひとつ、油田(ゆでん)があることがわかっていても、昔(むかし)は海(うみ)の底(そこ)の油田(ゆでん)から掘(ほ)り出(だ)す技術(ぎじゅつ)はなかったから、計算(けいさん)に入(はい)らなかった。ところが、技術(ぎじゅつ)が進歩(しんぽ)して、昔(むかし)は手(て)が届(とど)かなかった油田(ゆでん)からも掘(ほ)り出(だ)せるようになってきた。これも、可採年数(かさいねんすう)が減(へ)らない理由(りゆう)なんだ。
なるほどー。
石油(せきゆ)が貴重品(きちょうひん)になればなるほど、お金(かね)をかけてでも掘(ほ)り出(だ)すようになるだろう? だから、あっというまになくなってしまうということはないかもしれないね。
でも、前(まえ)は手(て)が届(とど)かなかったところからも、お金(かね)をかけてでも掘(ほ)り出(だ)すようになったら、そのうち本当(ほんとう)に可採掘年数(かさいくつねんすう)がゼロになって、どこにも石油(せきゆ)がなくなっちゃうかもね。
そうだね。地球(ちきゅう)に埋(う)まっている石油(せきゆ)の量(りょう)は、私(わたし)たち人間(にんげん)にどこまでわかっているかに関係(かんけい)なく、決(き)まっているからね。地球(ちきゅう)に埋(う)まっている石油(せきゆ)の量(りょう)を増(ふ)やすことはできないんだ。でも、可採年数(かさいねんすう)を延(の)ばすために、私(わたし)たちにもできることがあるんだよ。
えっ? ほんと? どんなこと?
さっき「今(いま)のペースで使(つか)ったら、あと何年(なんねん)使(つか)えるか」と言(い)ったのを覚(おぼ)えているかい? つまり、使(つか)うペースを変(か)えればいいんだよ。
そうか。「石油(せきゆ)はあるけど、もう使(つか)わなくてもいいよ」という世界(せかい)になればいいんだね。
そういうこと! それから、石油(せきゆ)や石炭(せきたん)などのエネルギー資源(しげん)は一度(いちど)燃(も)やしてしまうと、元(もと)に戻(もど)らないけど、鉄(てつ)や銅(どう)、アルミニウムなどの金属資源(きんぞくしげん)は、その製品(せいひん)を使(つか)い終(お)わったときに、捨(す)てずにリサイクルすればまた使(つか)えるんだ。
うん。ボクたちもスチール缶(かん)やアルミ缶(かん)を回収(かいしゅう)ボックスに入(い)れているよ。
そうだね。その分(ぶん)、地球(ちきゅう)から新(あたら)しい鉄鉱石(てっこうせき)や、アルミニウムの原料(げんりょう)のボーキサイトという鉱石(こうせき)を掘(ほ)り出(だ)さなくてもよくなるよね。資源(しげん)がなくなるまでの年数(ねんすう)がちょっとは延(の)びる。
うん。でも、そういう時間(じかん)稼(かせ)ぎをしているあいだに、地球(ちきゅう)から掘(ほ)り出(だ)す資源(しげん)がゼロでもだいじょうぶなしくみにしないと、いつかはなくなっちゃうでしょ?
そういうことだね。
ボクらの時代(じだい)はだいじょうぶだったとしても、これから生(う)まれてくる子(こ)どもたちが、資源(しげん)を全部(ぜんぶ)使(つか)い果(は)たしてからっぽの地球(ちきゅう)に生(う)まれてくるなんて、かわいそうだよ。
そうだよね。そうならないように、省(しょう)エネや省資源(しょうしげん)に気(き)をつけて、使(つか)い終(お)わった資源(しげん)は回収(かいしゅう)・リサイクルするようにしながら、だんだんと「地球(ちきゅう)から資源(しげん)を掘(ほ)り出(だ)さなくてもいいしくみ」にしないといけないよね。
うん。
「地上資源(ちじょうしげん)」ってことばがあるんだ。
「地上資源(ちじょうしげん)」? どういうこと? 「地下資源(ちかしげん)」は聞(き)いたことがあるけど。
地下(ちか)の資源(しげん)を掘(ほ)り出(だ)さなくても、いまの日本(にほん)には、建物(たてもの)や電車(でんしゃ)やクルマや携帯電話(けいたいでんわ)やテレビやさまざまな形(かたち)で、金属資源(きんぞくしげん)がいっぱいあるんだよ。それをきちんと回収(かいしゅう)してリサイクルするようになれば、日本(にほん)は資源(しげん)に乏〔とぼ)しいどころじゃない、すごい資源大国(しげんたいこく)なんだよ!